有期労働契約途中の退職についての注意点
- 2024.05.30 コラム
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はじめに
労働契約は大きく「有期労働契約」と「無期労働契約」に分けることができます。
前者が一定期間を定めて締結されるものであることに対し、無期労働契約はいわゆる正社員など終了時期を定めないものを指します。
使用者(会社)側からの契約解除はいずれも簡単ではありませんが、有期労働契約の場合、労働者側からの途中退職にも一定の制限がかかります。
以下、有期労働契約の途中退職等についての注意点を解説します。
有期労働契約の長さに関するルール
有期労働契約の長さについて、不当に長期に渡り労働者を拘束することのないよう、以下の表の上限が定められています。
【有期労働契約期間】
業種 |
上限 |
原則 |
3年 |
高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約 |
5年 |
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約 |
5年 |
有期の建設工事等 |
その期間 |
無期転換ルール
また、有期労働契約については、かつて半年や1年の契約を何度も更新していながら人員が不要になった時等に突然更新をストップする、いわゆる「雇い止め」が問題となりました。
そのことから、2013年4月以降に通算契約期間が5年を超える有期労働契約を締結した場合は、労働者の申し出により無期労働契約に転換しなければならないことになりました。
使用者側からの契約途中解約
能力が不足している、協調性がない、会社の経済的事情などの理由により使用者(会社)側から有期労働契約を途中で解約(解雇)する場合には、そのハードルは通常の解雇よりもさらに厳しいものとなります。
相手方の重大な公序良俗違反や、契約を継続することにより生じる安全衛生上の差し迫った理由などがない限りは認められないと考えた方が良いでしょう。
労働者側からの契約途中退職
有期労働契約においては、労働者側からであっても原則として途中解約(退職)できません。途中解約が認められるのは、やむを得ない理由がある場合のみとなります。
この「やむを得ない理由」の例としては、「労働条件が当初の契約と異なる」「病気などにより労務を提供できない」「会社に公序良俗上の明らかな問題がある」などが挙げられます。
逆に言うと、やむを得ない理由がないと認められる場合には、使用者側は「まだ契約期間が残っているから働いてください」と退職を拒否できることになります。
なお、1年を超える有期労働契約の場合、働き始めて1年が経過していれば労働者は理由なく退職することができます。
労使の合意による契約途中解約
ちなみに、労使の合意に基づいて「◯◯、△△の事情があった場合には、いずれか一方の申し出により途中解約できる」と契約することは必ずしも違法ではありませんが「どんな理由でも無条件で解約できる」などの特約は、そもそも有期労働契約の趣旨に反するため認められないでしょう。
また、話し合いのもとで有期契約の途中で合意解約することについては問題ありません。
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