新政権による労働時間規制緩和の内容について
- 2025.12.24 コラム
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はじめに
2025年10月、高市首相は厚生労働省および関連機関に対し、労働時間規制の見直しを検討するよう指示しました。
この指示は、現行の時間外労働(残業)上限や勤務時間制度が「柔軟な働き方」や「人材活用」の障壁になっているという認識を背景にしています。
以下、この労働時間規制見直しについて現時点の情報を解説します。
検討の対象
現時点で、具体的には「残業上限規制」「裁量労働制・フレックスタイム制等の拡大」「働き手の選択を尊重する勤務時間制度の整備」などが検討対象と報じられています。
ただし「緩和=無制限」というわけではなく、「心身の健康維持」と「労働者の選択」を前提として、過労・健康リスクに配慮しながらの慎重な議論が求められています。
主な論点
以下に、労働時間法制の規制緩和にあたって、現在議論されている主な論点を整理します。
- 1.残業時間の上限規制の再検討
現行制度では、働き方改革関連法により、原則として時間外労働の上限は月45時間・年360時間と定められており、
特別条項付きの場合でも月100時間未満・複数月平均80時間以内などの基準が設けられています。
規制緩和の方向では、このような上限を柔軟化する、あるいは選択制を設けるといった検討が始まっています。
例えば、働きたい人がもっと働けるようにという観点から、勤務時間の上限を引き上げたり、残業を含めた勤務スケジュールの選択肢を増やしたりする案です。
- 2.フレックスタイム・裁量労働・高度プロフェッショナル制度の拡大
時間に縛られない働き方を実現するため、フレックスタイム制や裁量労働(企画・管理型)・高度プロフェッショナル制度(高プロ)などの活用拡大も検討されています。
制度設計によっては、労働時間の管理手法を変えることで、「働く時間を本人が選べる」方向性が示されています。
また、報道では「年収要件」「専門性要件」などの要件緩和の可能性なども指摘されています。
- 3.副業・兼業・収入確保との関連性
高市政権では少子化・人手不足対策の一環として、働き手の収入確保やキャリアの多様化を意識しています。
報道では、「残業代が減ったために慣れない副業を余儀なくされ、健康を損ねる可能性がある」といった観点から、労働時間規制の硬直性を見直す必要性が語られています。
こうした背景から、柔軟な労働時間制度を通じて、収入・働き方の選択肢を広げるという政策意図がうかがえます。
- 4.健康確保・過重労働防止とのバランス
議論のなかでも特に重要なのが、「緩和=長時間労働の容認」ではないという前提です。
高市首相指示の文言にも「心身の健康維持」というキーワードが明記されています。
専門家・労組側からは、これまでの過労死・過重労働是正の流れを逆行させる懸念も示されており、
制度としては「自由な選択」と「健康・安全の確保」という二つを両立させる設計が求められています。
制度設計・運用実効性
制度が形だけの「緩和」にならないよう、実務運用面での整備が重要でしょう。
例えば、残業上限引き上げや高度プロフェッショナル制度の「選択制」の導入時には、本人の同意の「自発性」や「選択撤回の権利」の確保をどのように組み込むかが重要になるでしょう。
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