DEIと企業運営の今後を考える
- 2025.02.05 コラム
さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。
はじめに
近年、企業経営についてDEI(Diversity, Equity, Inclusion)という考え方が注目されています。
グローバル化や社会的価値観の変化により、多様性の重要さが叫ばれている一方で、多様性を意識するあまり合理性や生産性が犠牲になっているという批判も起きています。
以下、DEIについて解説するとともに、今後企業運営にどのように影響していくかを考察します。
DEIの定義
DEIとは、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)の3つの要素を指します。
「多様性」とは、性別、年齢、国籍、文化、能力などの違いを認めること、「公平性」は、それぞれの人が平等な機会を得られるよう、その違いに応じた配慮を行うことを意味します。
そして「包括性」は、多様な人々が互いに尊重し合える環境を作ることとされています。
DEIのメリット
(1) 多様性による競争優位性
多様なバックグラウンドを持つ従業員が集まることで、多角的な視点や新たな発想が生まれやすくなります。
異なる経験や考え方が組織の問題解決能力を向上させ、イノベーションを加速させます。
たとえば、ジェンダーや国籍、文化の異なるチームが、より幅広い市場ニーズに対応する商品やサービスを開発できる可能性があります。
(2) 社会的責任とブランド価値の向上
DEIを推進する企業は、消費者や投資家から支持を得やすくなります。
現在、社会全体が企業の倫理性に注目しており、DEIは企業ブランドの信頼性を高める要因となっています。
特に若年層の消費者は、倫理的な企業活動を重要視しており、DEIに積極的な企業を選ぶ傾向があります。
(3) 従業員満足度とエンゲージメントの向上
公平で包括的な職場環境は、従業員のモチベーションや生産性を向上させます。
心理的安全性を重視した職場では、従業員が自由に意見を表明しやすく、仕事への満足度が高まると期待されます。
また、離職率の低下にもつながり、優秀な人材の確保と定着が可能になります。
DEIの課題と今後
米大統領選挙で勝利したトランプ氏はDEIの風潮に批判的なことで有名です。
実際、このDEIが過剰になった結果、特定の団体のみを優遇する新たな不公平を生んだり、企業経営上の合理性や生産性を犠牲にしたりしているという批判が一部であるようです。
またDEIは直接的な生産活動でないため、その取り組み自体が形骸化するリスクもあります。
例えば、DEIを単なる数値目標(例:女性管理職比率の達成)として捉えるのではなく、企業ビジョンや経営目標に対する効果を検証する姿勢が重要でしょう。
なお、日本はもともと地理的、歴史的、文化的背景から、多様性は高くない国といわれています。
DEI研修や教育プログラムを通じて、まずはDEIに関する基礎的な知識を学ぶところから始めてもよいでしょう。
DEIは目的でなく手段
DEIは、企業の健全な成長を支えるための手段であり、 それ自体が目的化していくと本質を見失います。
イデオロギーにとらわれず、あくまで「経営目標の達成のためにDEIをどのように改善する必要があるか?」という問いを念頭に置きながら対策していくことをお勧めします。
労務問題対策には専門家の支援を
当法人では、企業様に顧問社労士契約を推奨しております。労務・手続き・助成金に強い顧問社労士をつけることで、労務問題を迅速に解決するだけでなく、給与計算や諸手続きにかかる総務部門の間接コストを削減することができ、経営に専念できる環境を整備出来ます。その他にも受給できる助成金の提案・申請代行や各種研修の実施・最新情報提供など、様々なメリットがあります。 詳しくは、【サービス紹介】をご覧ください。
実際に顧問契約をご締結いただいている企業様の声はこちら【顧問先インタビュー】