給与のデジタル払いについて
- 2024.11.12
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はじめに
給与のデジタル払いとは、従来の現金手渡しや銀行振込に代わり、電子マネーなどで従業員の給与を支払う方法です。
2023年4月の法改正により、厚生労働省指定の資金移動事業者によるサービスが給与支払いに利用可能となり、2024年8月には「PayPay」が初めて事業者指定を受けました。
今後の給与デジタル払いについての注意点やメリットデメリット、導入方法について解説します。
給与デジタル払いの注意点
給与デジタル払いは、労働基準法第24条(賃金の支払い)に基づき、以下の要件を満たす必要があります。
デジタル払いの種類 |
厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(現在はPayPayのみ)を通じて行うこと |
現金化と無料引き出し |
デジタル払いされた賃金は現金化が可能であり、少なくとも月1回は無料で引き出すための手段が提供されること |
上限 |
資金移動業者のアカウントの残高上限100万円までとし、超過分は紐付けた銀行口座へ振り込まれること(PayPayのアカウントに保有できる給与の上限額は20万円) |
労働者の同意 |
デジタル払いは労働者が希望したときにのみ選択できること(雇用者が強制することは認められない) |
労使協定 |
給与のデジタル払いに関する労使協定の締結が事前にされていること |
デジタル払いのメリット
デジタル払いを導入することで、従業員と会社双方にメリットがあります。
【従業員側のメリット】
利便性が向上する / 銀行の口座がなくても受け取れる /スマートフォンなどで簡単に入金確認ができる
【会社側のメリット】
事務作業の効率化 / 振込手数料の削減、現金管理にかかるコストの削減 / 従業員満足度の向上など
実際の導入手順
導入する場合、以下の手順を踏む必要があります。
- 1.内容の検討
デジタル払いサービスの選定を行い、給与支払日や支払い方法、手数料負担などの内容を検討します。
- 2.労使協定の締結
①口座振込み等の対象となる労働者の範囲
②口座振込み等の対象となる賃金の範囲およびその金額
③取扱金融機関、取扱証券会社及び取扱指定資金移動業者の範囲
④口座振込み等の実施開始時期について労使協定を締結します(労働基準監督署への届出は不要)。
- 3.個別の労働者との合意・アカウント情報等の収集
労使協定とは別に、デジタル払いをする個別の労働者の同意を取得してください。
その際に給与のデジタル払いのための口座番号等アカウント情報を収集してください。
- 4.デジタル払いの開始
従来の給与振り込みと同様にデジタル払い用口座に振り込みを開始します。
なおPayPayの場合、給与のアカウントに保有できる上限額は現在20万円に設定されており、20万円を超える場合、残額があらかじめ設定された本人の銀行口座に自動で振り分けられることになっています。
上限額の設定上、まずは給与総額の少ないアルバイトから導入を開始することになりそうです。
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