2024年11月1日施行のフリーランス新法について
- 2024.09.19 コラム
さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。
はじめに
働き方の多様化が進展し、フリーランスという働き方が普及してきました。
フリーランスは労働者でなく取引業者として業務委託を受ける形態で働きますが、しばしば交渉力が弱い立場になり、報酬未払いや遅延、ハラスメントなど不当な扱いが問題となっています。
これらの背景もあり、この度11月から特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)が施行されることになりました。
フリーランス新法の対象
この法律は、業務委託事業者(いわゆる発注側の会社)と特定受託事業者(いわゆるフリーランス)との間の業務委託にかかる取引に対して適用されます。
つまり、いわゆるB to Bの委託取引のみが対象で、フリーランスと一般消費者との間の取引は対象外です。
また、週20時間以上かつ継続して31日以上の雇用が見込まれる従業員を使用しているフリーランスはこの法律の適用対象外となります。
わかりやすくいうと、「1人か、たまに臨時のアルバイトを雇う程度のフリーランス(個人事業主または一人社長の会社)の行うB to B取引」がこの法律の対象となります。
発注側企業の義務
この法律において、発注側企業側は書面またはメール等による取引条件の明示をしなければなりません。
また、従業員等を雇用し組織的に運営している発注側企業(特定業務委託事業者といいます)は、フリーランスとの交渉力の差を踏まえて、期日における報酬支払い、募集情報の的確表示、ハラスメント対策等の義務が課されます。
さらに1ヶ月以上の業務委託である場合は報酬の減額や受領拒否などをしてはならないなど「禁止行為」が定められています。
委託期間が6ヶ月以上である場合には上記に加えて「育児介護などの配慮」や「中途解除の場合の予告・理由開示義務」などが課せられています。
取引条件の明示義務の内容
明示すべき事項としては、「当事者の商号、名称など」「委託日」「仕事内容」「期限・場所」「検査完了日」「報酬額・支払い期日・支払い方法」等が定められています。
契約時点で未定事項がある場合は、未定となる理由や明示予定期日を示し、内容が決まったら改めて補充の明示をしなければなりません。
期日における報酬支払義務
特定業務委託事業者は、発注した物品の受領日から60日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払い期日を定めてそれまでに支払わなければならないとされます。
また、再委託の場合は元委託支払い期日から30日以内のできる限り短い期間内で定めることができるとされています。
1ヶ月以上の業務委託の禁止行為等
特定受託事業者との1ヶ月以上の業務委託に関して、①受領拒否②報酬の減額③返品④買いたたき⑤購入・利用の強制(無理やり買わせるなど)等が禁止されます。
また、ハラスメント対策(方針策定や相談窓口の設置など)も義務化されます。
中途解除等の事前予告/理由開示義務
特定業務委託事業者は、6ヶ月以上の期間行う業務委託を中途解除したり、更新したりしない場合には、少なくとも30日前までに予告をしなければなりません。
また、中途解除や不更新の理由の開示を請求された場合には開示義務があります。フリーランスにも労働法の解雇制限に準じた保護をしていく方向でしょう。
労務問題対策には専門家の支援を
当法人では、企業様に顧問社労士契約を推奨しております。労務・手続き・助成金に強い顧問社労士をつけることで、労務問題を迅速に解決するだけでなく、給与計算や諸手続きにかかる総務部門の間接コストを削減することができ、経営に専念できる環境を整備出来ます。その他にも受給できる助成金の提案・申請代行や各種研修の実施・最新情報提供など、様々なメリットがあります。 詳しくは、【サービス紹介】をご覧ください。
実際に顧問契約をご締結いただいている企業様の声はこちら【顧問先インタビュー】