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男性育児休業を良くする方法を考察する

2023.10.12 コラム

さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

はじめに

 男性育児休業は日本においても徐々に普及しており、男性育児休業取得率も2021年度雇用均等基本調査で13.97%と前年度の12.65%から上昇しています。しかし当然ながら、より良い社会のためには単に取得率アップばかりを目指すのではなく、「男性育児休業が次世代育成という目的にどれだけ役に立っているか」「企業の発展にどれだけ役に立っているか」という視点でも考える必要があるといえるでしょう。男性育児休業が「労働者よし・企業よし・日本社会よし」の三方良しとなるような「より良い男性育休」について考察します。

 

男性育児休業の問題点

男性育児休業の問題点は大きく2つあり、一つは「育児休業期間中の労働力の損失」、二つ目は「男性育児休業の有効性」と言われています。

  • ①労働力の損失

企業は男性育児休業期間中に働けない間、代替人員などで補う必要があります。代替要員が確保できない場合、他の誰かにしわ寄せが来ることになります。また、労働者自身から見ても、育児休業期間中にキャリアが分断してしまう恐怖から休業取得を決められないケースもあるでしょう。もちろん、育児休業給付が拡充したとは言え、収入減となることも課題の一つでしょう。

②男性育児休業の有効性

男性育児休業のデメリットの一つとして「丸一日休んでいても家事・育児を実際には手伝わず、男性(父親)がいるとかえって食事の用意などの手間が増える」という女性(母親)側からの声があるようです。幼少期に父親が育児休業をしていないため参考となる男性育児休業モデルがなく「育児休業を取ったとしても何をすれば良いかわからない」ということなのかもしれません。

局所的な休業と時短勤務

前述の問題点を解決する方法として「丸一日休む男性育児休業は産後8週以内など局所的に活用し、それ以外は時短勤務をする」という方法はどうでしょうか。育児期間中に男性が担うことのできる育児タスクを列挙してみると、以下のようなものが挙げられます。

  • ・上の子の保育園、習い事の送迎、学校行事対応
  • ・家事(掃除、炊事、買い物)
  • ・パートナーの心のケア(話し相手)
  • ・ミルクなどの授乳、おむつ交換
  • ・パートナーの仮眠中の子守

 

新生児は昼間寝ていることが多く、実は日中にすることは多くないという声があります。育児について特に人手が必要なのは「バタバタする朝の支度」「上の子が学校から帰ってきた後の世話」「夜泣きにより疲弊した母親のケア」など朝晩の時間帯という可能性はないでしょうか。つまり、母親はパートナーに「朝の出勤を遅らせてほしい」「夕方早く帰ってきてほしい」と思っているケースは多いのですが、一日休業してほしいと望んでいないのかもしれません。

 

時短休業と育児休業給付等の関係

育児休業は原則として就業しないことを前提としているものの、雇用保険の育児休業給付制度では育児休業期間中の臨時的一部就業を可能としています。育児休業中であるか否かの原則的な判定基準は「1ヶ月の就業日数が10日以下であること」ですが、就業日数が10日を超えていても就業時間が80時間以下の場合は一部育児休業給付が支給されることがあります。また昨年10月の法改正により、出生時育児休業中(産後8週以内)は労働者と事業主が事前に調整した上での休業中の部分的な就業も可能とされています。

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