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試用期間と解雇の注意点

2023.09.27 コラム

さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

はじめに

 試用期間という言葉は一般的に用いられていますが、その取り扱いについては、しばしば「試用期間中であれば解雇してもよい」「試用期間は社会保険に加入させなくて良い」などの誤解があります。法律的な観点から試用期間の注意点を解説します。

基本的な考え方

試用期間とは文字通り「試しに用いる(雇用する)期間」であり、労働者の能力や適性を確認する期間です。法律的に期間の定めはありませんが、適性を確認するという目的からすると3ヶ月〜6ヶ月程度とするのが一般的です。1年の試用期間を定めることが直ちに違法となるわけではありませんが、試用期間の趣旨に照らし合わせると一般的に1年は長いでしょう。

試用期間と解雇

 試用期間については諸説ありますが、現在は「解約権留保付労働契約説」が有力と言われています。つまり試用期間は、会社側からの解約=解雇の権利を留保した労働契約の状態であるという考え方です。

労働契約法第16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められていますが、試用期間中であっても解雇には変わりがないので同様の「合理性・社会通念上の相当性」は求められます。ただし試用期間は「適性判断の結果解約する可能性が示されている期間」であるために、その範囲は通常の解雇より少し広く考えることができるでしょう。なお「協調性の欠如」などの解雇理由は立証が難しいため、できるだけ業務に対する具体的な不適性を理由としたいところです。

試用期間満了をもって解雇をする場合は、次のポイントに注意しましょう。

  • (1)試用期間であること、適性を確認する目的であることあらかじめ労働者に明示する
  • (2)適性を確認する際の判断基準をあらかじめ労働者に明示する(勤怠状況、技術テストの合否、指導に対する改善の程度など)
  • (3)解雇回避の努力をする(面談や指導を実施し記録を残す、改善のために課題の提出をさせるなど)
  • (4)雇い入れから14日を経過している場合は30日以上前(かつ試用期間満了前)に解雇を予告する

有期労働契約との相性

試用期間は「長く働く上での適性を確認する」という意味合いがあるため、無期労働契約を前提としています。有期労働契約の場合は原則としてその契約期間中の雇用を約束していますので、契約期間の一部に試用期間を設定して適性を判断することは馴染みません。

有期労働契約に試用期間を設定することが直ちに法律違反となるわけではありませんが、前提として有期労働契約と試用期間は相性があまり良くないことを認識しておきましょう。

退職日が試用期間満了日を過ぎて良いか

試用期間中に解雇を通告し、実際の退職日が試用期間満了日よりも後になってしまったとしても、解雇ができないわけではありません。むしろ会社側が真摯に適性判断のための面談や改善のために指導をしていたかという実績の方が重要です。試用期間内で適性が判断できない場合は試用期間を延長することも可能ですので、無理やり排除しようとするのではなく、一人一人の労働者に対してちゃんと適性判断を行うことを心がけましょう。

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