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「定額残業代制度」のこれからを考える

2022.08.31 コラム

  さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

はじめに

 電通過労死事件や2019年の残業上限規制の法改正などを機に、残業に対する世間の目はますます厳しくなっています。このことに関連して、残業対策の代表的な方策の一つである「定額残業代制度」も転換期を迎えています。以下定額残業代制度を時代に合わせてどのように変えていけばよいかについて考察します。

定額残業代制度とは

 「定額残業代(固定残業代)制度」とは、一賃金締切期間内の残業手当をあらかじめ見込んで定額で支払う制度です。これは「定額残業代で払っているから残業代は払わなくても良い」という意味ではなく、実残業に対する残業手当が定額残業代を超えた場合は差額を支払わなければならない点に注意が必要です。コーヒーカップとソーサーで例えるならば、コーヒーカップ(=法定労働時間)から溢れた労働時間を下のソーサー(=定額残業代)で受けるような関係性であり、ソーサーから溢れた場合は別途残業代を支払う必要があります。

要件

 定額残業代制度を適法に運用するためには①就業規則・雇用契約書に「定額残業代であることを明記すること」②実残業代との差額計算をしていること(毎月の残業代が定額残業代を超えていないかをチェックしていること)が原則として欠かせません。この①②をおろそかにした結果、定額残業代制度そのものが認められなかった場合には、定額残業代自体も残業基礎単価に含めて計算しなければならず、さらに定額残業代相当の残業代を払っていないことになるため、未払い残業代が膨れ上がることになります。 

多すぎる見込み時間はN G

 この定額残業代制度はしばしば、従前の総支給額を変えずに残業代を払う方便として用いられてきた歴史があります。つまり、基本給など既存の給与の一部を定額残業代に振り替えて運用されてきたケースが少なくありません。そして、できるだけ残業代を払わなくて済むように見込み残業時間を多く(6080時間超など)見込んだ制度設計がなされていることもあります。

 しかし本来は残業時間の法定上限である「1ヶ月45時間、1360時間(原則)」を超える残業見込み時間を設定することは望ましくありません。なぜなら多すぎる残業見込み時間は、法定上限を恒常的に超える過重労働を前提にした制度だと問題視される可能性があるためです。過去の判例の中には、多すぎる残業見込み時間を根拠に定額残業代制度自体を否定したものもあります。

 今後の定額残業代制度は、年間360時間÷12ヶ月=月間30時間を目安に制度設計することが望ましいでしょう。 

定額残業代と減給

 計算上は見込み残業時間の減少に比例して定額残業代を減少させることは当然ですが、「実際に定額残業代を減給しても良いか」という点については注意が必要です。それは前述の通り元々定額残業代の導入時に基本給などの一部を振り替えていることが多いためです。定額残業代を減らした分基本給を昇給したり、他の調整給で補ったりして総支給額が減らないように移行した方が良いかもしれません。

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