熱中症対策の法的義務と具体的方法
- 2026.08.20 コラム
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はじめに
近年の猛暑により、職場における熱中症のリスクは年々高まっています。
厚生労働省の統計でも、熱中症による労働災害は増加傾向にあり、2025年6月からは労働安全衛生規則の改正により、事業者に対する熱中症対策が「努力義務」から「法的義務」へと強化されました。
企業は今後、単なる注意喚起にとどまらず、具体的な体制整備を行う必要があります。
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1.法的義務の内容
改正労働安全衛生規則では、WBGT値(暑さ指数)がおおむね28度以上、または気温31度以上となる作業において、以下の対応が事業者に義務付けられています。
- ・早期発見の体制整備:作業者の健康状態を確認する体制(声かけ、巡視、バディ制など)の構築
- ・重篤化防止の措置:症状が疑われる作業者を発見した際の作業離脱、冷却、医療機関への搬送等の手順をあらかじめ定めること
- ・関係者への周知:上記の体制・手順を作業者及び関係者に周知すること
違反した場合は労働安全衛生法に基づき、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。単なる推奨事項ではなく、罰則を伴う義務である点に注意が必要です。
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2.対象となる業種・作業・時間
屋外作業はもちろん、屋内であっても空調のない倉庫、厨房、工場内の高温多湿な作業場所などにおける連続1時間以上/1日4時間超の作業が対象となります。
例えば飲食店においては、厨房内の調理業務やデリバリー配送業務においても熱中症が発生するケースが多く、特に夏季の繁忙期には注意が必要です。
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3.具体的な対応方法
(1) WBGT値の測定・管理
簡易型のWBGT測定器(1万円程度から購入可能)を作業場に設置し、数値を記録・可視化します。
数値に応じて休憩の頻度や作業内容を調整するルールを事前に定めておくことが有効です。
(2) 休憩・水分補給体制の整備
- ・休憩スペースに冷房や送風機を設置
- ・経口補水液や塩分タブレットの常備
- ・「1時間ごとに水分補給」など具体的なルールを掲示
(3) 声かけ・バディ制の導入
一人作業を避け、複数人での作業体制やペア制(バディ制)を導入し、異変の早期発見につなげます。
特に厨房のように個々が持ち場に固定されやすい環境では、管理者による定期巡視が重要です。
(4) 緊急時対応マニュアルの整備
熱中症の疑いがある場合の対応手順(作業離脱→日陰・涼所への移動→衣服を緩める→冷却→救急要請の判断基準)を文書化し、朝礼等で周知します。
119番通報の判断基準を具体的な症状(意識障害、嘔吐、体温上昇など)で示しておくと現場が迷いません。
(5) 教育・研修の実施
年に1回、夏季前を目安に熱中症予防研修を実施し、自己管理(前日の睡眠、飲酒後の作業リスクなど)についても周知します。
おわりに
熱中症対策は、もはや「福利厚生」の一環ではなく、履行しなければ罰則を伴う法的義務です。酷暑に備えて、十分な熱中症対策を講じましょう。
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