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減給をする際の注意点

2026.06.29 コラム

さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

はじめに

「問題のある従業員に対してペナルティを与えたい」「ミスを犯した社員の給与を下げたい」など、制裁として減給処分を行う場合、労働基準法の規定により制約があります。

以下、「減給の制裁」を中心として、減給を行う際の注意点を解説します。

労基法による減給額の上限

懲戒処分としての減給は、労働基準法第91条により、その額に厳格な上限が設けられています。具体的には、以下の二重の制限があります。

  •  ①1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
  •  ②複数の制裁がある場合でも、一賃金支払期(通常は1か月)における減給の総額がその期の賃金の10分の1を超えてはならない

 

具体的な計算例:月給30万円の社員の場合

 平均賃金(日額)の目安:約1万円(直近3か月の暦日数により変動)

  •  1回の制裁で減給できる上限:約5,000
  •  1か月の減給総額の上限:30,000

つまり、このケースでは1回の事案については5,000円程度しか減給できません。

また、同一月内に複数回の懲戒事由が重なったとしても、1か月の減給総額は最大30,000円までに制限されます

※当月の上限を超えた分は翌月以降に繰り越せます

 

この点で、懲罰的意味合いで減給をしようとしても、法律的な制約により会社側が思うほどの減給額にならないことが多い点に注意が必要です。

人事評価による降給との違い

「では、評価を下げて給与を引き下げれば良いのでは?」というご意見もあります。

人事考課の結果に基づく降給は、就業規則や賃金規程に根拠があれば、労基法91条の制限とは別の話です。

評価制度に基づく降給は制裁ではなく、労働契約の内容変更として整理されるため、原則として上限の縛りは受けません。

あるいは、一定の遅刻・欠勤回数により皆勤手当を不支給とするなどの給与ルールも、減給の制裁とは別の取り扱いとなります。

ただし、「問題行動を起こした直後に評価を下げる」「実態として懲戒目的で評価制度を利用する」「減給幅が大きすぎる」といった場合、裁判等では制裁的降給と同視されることがあります。

その場合、権利濫用や不当な不利益変更として無効と判断されるリスクがあります。

減給の目的は何か

労働基準法はその性質上、通常の労働者にとって唯一の収入源である賃金を減らすことには厳しい制約を課しています。

一方労働者自身も、賃金が(増えるよりも)減ることに対して敏感に反応します。

減給の目的が曖昧で手順が不明瞭なまま実施されると、職場全体の信頼関係や士気に影響します。

減給が問題行動を懲らしめるために行われるとした場合、その最終的な目的は「行動の改善」と考えられます。

行動改善を促すためには、減給以外の方法(面談、業務改善計画、教育的措置、業務分担の変更など)の方が実効性を持つ可能性もあります。

減給をする際は、法律上の制限に注意し、目的に沿った代替案も含めて検討しましょう。

労務問題対策には専門家の支援を

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