労働時間の丸め処理等について
- 2025.01.08 コラム
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はじめに
労働基準法では、会社が労働者の労働時間を適切に管理する義務を負うとされています。
この「適切な管理」ができないことが、過重労働による健康被害、未払い残業代等の問題につながります。
厚生労働省は労働時間の適正把握の方法について様々な周知をしており、この度、同省から「典型的な不適正管理」を例示するパンフレットが発表されましたので、その内容について解説します。
典型的な不適正管理の例
- 1.勤怠管理システムの端数処理機能を使って労働時間を切り捨てている
勤怠管理システムの端数処理機能を設定し、労働時間のうち15分に満たない時間を一律に切り捨て(丸め処理)、その分の賃金を支払っていない等行為について違法なものとして取り上げています。
勤怠管理システムで機能として備わっていることが多いこの「丸め処理」ですが、法律上は日々の労働時間を1分単位で管理しなければなりません。
例外として、1ヶ月の労働時間を合計したものを30分単位で四捨五入することは認められています。
- 2.一定時間以上でしか残業申請を認めない
残業申請を30分単位で行うよう指示しており、30分に満たない時間外労働時間について、残業としての申請を認めていない、切り捨てた分の残業代を支払っていない等行為について違法なものとして取り上げています。
残業時間も1分単位で管理し、残業代を支払わなければなりません。
ただしこちらも1ヶ月の残業時間を合計したものを30分単位で四捨五入することは認められています。
- 3.始業前の作業を労働時間と認めていない
毎朝、タイムカード打刻前に作業(制服への着替え、清掃、朝礼など)を義務付けているにも関わらず、その作業を、労働時間として取り扱っていない等の行為を違法なものとして取り上げています。
始業時刻前の掃除、朝礼、会社が指定した作業着への着替えは一般的に行われていますが、それらの時間については労働時間と判定される可能性が高いといえるでしょう。
タイムカードと労働時間
労働時間を適正に管理する上で重要なポイントは「客観性」と「会社側のチェック」です。
客観性について、自己申告のエクセル出勤簿や押印するだけの出勤表、カレンダーに労働時間を書き込むなどの方法は一般に客観性が低いとされています。
一方タイムカード(物理的タイムカード、またはweb勤怠システムによるタイムカード)は1分単位で打刻される点で客観性が高いとされます。
ただし客観性が高いタイムカードとはいえ、終業後打刻前に同僚と談笑していた時間まで労働時間と判定されるというわけではなく、実態とすり合わせた上で労働時間判定がされます。
そのためにも「会社側の定期的なチェック」が重要になります。
日頃から終業時刻後すぐ帰るよう会社が指導していたり、打刻上の不明点をヒアリングしていたりといった積み重ねも重要になります。
未払い賃金時効と労働時間管理
未払い賃金にかかる消滅時効が現在3年(今後5年に変更予定)であるため、労働時間丸め処理が積み重なると未払い賃金リスクが大きくなることがあるため注意しましょう。
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