いまさら聞けない社会保険の随時改定
- 2024.12.04 コラム
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はじめに
健康保険と厚生年金保険、いわゆる社会保険制度は、保険料徴収や年金等給付など多くの場面において「標準報酬月額」という等級を基準に計算・管理がなされています。
所得税・住民税や労働保険などと異なる管理方法であり、制度の誤解や手続きの間違いがしばしば起こります。
以下、社会保険の随時改定の仕組みを解説します。
標準報酬月額
社会保険制度では、次の図のように被保険者の給与を「20万円、24万円、30万円」などの切りのいい金額(=標準報酬月額)に当てはめて管理し、その等級で保険料徴収、給付の計算を行っています。
つまり、(実際の支給給与はさておき)等級に比例して保険料は高くなり、給付額が多くなるという構造になっています。
定時決定=年1回の等級決め直し
等級と実際の給与が乖離しないように、毎年4〜6月支給の給与の平均額を用いて、9月分以降1年の等級を決め直します。この年1回の作業を「定時決定」と呼び、算定基礎届の提出によって行います。
4〜6月の給与を平均するのは、おそらく4月に定期昇給する企業が多いと考えられていることからでしょう。
なお、4〜6月に毎年極端に残業手当が多いなどの事情により被保険者の実態給与とあまりにかけ離れる場合は、年間平均給与を元に定時決定するなどの例外的な取り扱いも設けられています。
随時改定=途中の等級改定
社会保険の等級制度は前述した通り、一度決めた等級を翌年8月まで改定しない仕組みですが、昇給などのため2等級以上の変動がある場合は、途中で等級改定を手続きしなければなりません。
この手続きを「随時改定」といい、月額変更届を用いて届け出ます。
随時改定のポイント
この随時改定のポイントは以下の3つです。
- 1.固定的賃金の変動により発動
残業代など変動賃金がたまたま上下してもこの随時改定の対象となりません。基本給や各種手当など固定的に支払っている給与が変動することが随時改定の条件となります。
- 2.改定月以降3ヶ月の平均給与と既存等級を比較
固定的賃金が変動した月以後3ヶ月の平均給与と既存の等級を比較します。
- 3.原則として2等級以上の変動が対象
上記の比較の結果、原則として2等級以上の変動があったときに随時改定の対象となります。
注意すべきは、給与変動後3ヶ月の平均給与には残業代などの変動賃金も算入しなければならない点です。
例えば基本給が100円昇給しただけでも、その月から3ヶ月の残業がたまたま多かった場合などは、随時改定の対象となる可能性があることになります。
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