1歳以降の育児休業給付延長手続きの厳格化について
- 2024.11.20 コラム
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はじめに
育児休業中の所得補償として雇用保険制度から支給される育児休業給付について、これまでは市区町村の発行する入所保留通知書などにより、子が1歳以降の延長要件を確認していましたが、育児休業または育児休業給付を延長するためにわざと保育所に落ちる育休者の行為が問題とされていました。
そのため、2025年4月より育児休業給付の延長手続きが厳格化されることになりました。
以下ポイントについて解説します。
育児休業給付の制度
育児休業給付の主な要件は以下の通りです。
- ・1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した雇用保険被保険者であること
- ・休業開始日前2年間に、原則として賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
- ・一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること
これらの要件を満たす場合、原則として1歳まで休業前賃金の50%〜80%が支給されます。
ただし、子が1歳時点(または1歳6ヶ月時点)で保育所に入所できない場合にはそれぞれ半年ずつ、最長で子が2歳に達するまで延長されます。
育児休業給付の延長は今や一般に認知されており、育休取得者のおよそ3割が1歳以降の延長制度を利用しています。
厳格化の背景にあるもの
「育児休業給付を1歳6ヶ月から最大2歳まで延長するために自治体が発行する入所保留通知書が必要」という制度設計の結果、自治体の負担が増加しました。
例えば、「保育所などに入所する意思がないにも関わらず給付延長のためだけに申し込みを行う者への対応」や「意に反して保育所に内定した者からの苦情対応」などがあり、今回の厳格化は、こうした背景から実施が決定されています。
新たに必要となる書類
2025年4月以降の延長申請の際に次の書類を添付します。
- 1.育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書(新様式)
入所の保留を積極的に希望していないか、保育所内定を辞退したことはないか、合理的な理由がないのに自宅や職場から離れた保育所のみに申し込みをしていないか、などを育休者本人が申し立てる書類です。
- 2.市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
これまでの通り、保育所等の利用申込書の写しが必要です。市区町村に保育所等の利用申し込みを行う際は、必ず申込書の写し(電子申請で申し込みを行った場合は、申込内容を印刷したもの、または、申し込みを行った画面を印刷したもの)を保管しなければならない旨を育休者等に伝えましょう。
- 3.市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など)
これまでの通り、入所保留通知書等は添付が必要です。
延長可否の判断基準
判定基準として示されているのは「速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること」という要件であり、申立書や申込書などの状況から総合的に延長可否の判断がなされるようです。
「最寄りの保育所のサービス品質に不安がある」という理由等が認められるかなど、不明点も多くあり、今後の動向が注目されます。
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