公益通報者保護法の概要について
- 2024.11.07
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はじめに
元県職員による兵庫県知事のパワハラ告発問題について、知事が行なったとされる通報者特定のための行動が公益通報者保護法に違反するのではないかとの疑惑が話題となっています。
ここで問題とされた「公益通報者保護法」は、企業経営にも少なからず関連するため、この機会に概要を解説します。
公益通報者保護法が生まれた経緯
2000年頃、食品偽装や自動車会社のリコール隠しなどの企業不祥事が内部告発をきっかけとして明るみになりました。
一方で内部告発した社員が解雇や降格など不利益な取り扱いが問題となりました。
こういった経緯から、企業等不祥事による国民への被害拡大を防止するため(=公益のため)に通報する行為は正当な行為であり、企業等による解雇等の不利益な取扱いから保護されるべきものとされ、「公益通報者保護法」が制定されました。
保護の対象となる通報者とは
この法律で保護されるのは、企業の法律違反行為や命令等を通報する労働者・1年以内の退職者・役員等です。
労働者には公務員も含まれるため、今回の兵庫県のケースで問題とされました。
通報対象となる法違反
通報の対象となるのは、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律」として公益通報者保護法や政令で定められた以下のような法律に違反する犯罪行為若しくは過料対象行為、又は最終的に刑罰もしくは過料につながる行為です。
食品衛生法/食品表示法/金融商品取引法/不正競争防止法/個人情報保護に関する法律/労働基準法/著作権法 他
通報先と保護の要件
通報先としては①社内②行政機関③報道機関や消費者団体などの3つが定められています。
また、公益通報者保護法に基づく保護を受けるための要件は、通報先によって異なります。
通報先 |
主な要件 |
①社内 |
通知対象となる事実が生じ、または生じようとしていると思料すること |
②行政機関 |
通知対象となる事実が生じ、または生じようとしていると信じるに足りる相当の理由があること/通報者の氏名住所などを示して通報すること |
③報道機関等 |
通知対象となる事実が生じ、または生じようとしていると信じるに足りる相当の理由があること/社内や行政機関に通報すれば解雇など不利益取り扱いを受けると予想される相当の理由があること/社内に通報すれば隠蔽される恐れがあると予想される相当の理由があること等 |
保護の内容
労働者・役員が保護要件を満たして公益通報をした場合、それを理由とする解雇や解任は無効となります。
減給やその他不当な取り扱いもできません。
また、公益通報によって損害を受けた場合も、会社は公益通報者に損害賠償請求はできません。
2022年の法改正
2022年6月1日から、大企業では内部通報に対する相談体制をとることが義務化されました。
常時使用する労働者の数が300人以下の中小企業は努力義務となっています。
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