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会社の飲み会に残業代を支払うべきか

2024.08.14 コラム

さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

はじめに

X(旧Twitter)などのSNSで、「会社の飲み会に残業代は出るのか」という社長と社員のやり取りの動画が話題になっています。

その動画内に登場する社長は「残業代は出ない。強制参加の業務ではないので来なくてもいい」と答えていますが、同時に「業務外では同僚とコミュニケーションをとりたくないという発言は敵を増やすだけなのであなたの得にならないよ」と諭していました。

以下、会社の飲み会に残業代を支払うべきかについて法律的な観点で解説するとともに、このような問題にどう対処すべきかを考察します。

法律的な判断基準

会社の飲み会や懇親会、社員旅行、運動会などのイベントが業務に当たるか否かについては、「事業所内または会社が指定した場所で行われるか」と「使用者から義務付けられ、または余儀なくされたか」により判断されます。

社内イベントが以下のようなルールで運営される場合、それらは業務であり、つまりそのイベントの時間(場合によっては移動時間も含めて)は労働時間であると判断される可能性が高くなります。

  •  ・会社が開催場所を指定している
  •  ・会社から全員参加である旨が通達されている
  •  ・不参加の場合に理由を述べる必要がある
  •  ・不参加の場合に人事評価が下がる
  •  ・「新入社員歓迎会」などと銘打たれており実質的に不参加と言いにくい
  •  ・直属の上司から参加するように圧力がある

飲み会等に残業代を払わないために

逆に考えると飲み会等が業務ではなく、残業代を支払わないと会社が主張するためには、「自由参加であること」「人事評価に影響しないこと」を明確に伝えるとともに、実質的に断りにくい状況になっていないか気を配る必要があるでしょう。

過去には、くも膜下出血で死亡した労働者の労災認定をめぐって、「リーダーという立場上断れなかった飲み会の時間」を残業時間と認めたケースや、新入社員歓迎会の2次会でのセクハラ認定について「飲み会が業務の延長」と判断された例などシビアなものがあります。

今後は世代間の価値観の違いによって頻繁にこの「飲み会残業代問題」が発生する可能性があるかもしれません。

実際の対応策

「飲み会に残業代は出ますか?」と質問された場面を想定して、飲み会文化を継続するか否かという観点から対応策を考察します。

①飲み会文化を継続したい場合

自由参加であり査定に影響しないことを明確に説明して誘い、断られても嫌な顔をしないのが大切です。

あるいは飲み会を業務とみなして残業代を支払い、打ち解けたコミュニケーションをする会社行事として堂々と開催する方法もあるでしょう。

なお、飲み会ではセクハラ・パワハラ・アルハラ(アルコールハラスメント)を厳格に禁じる企業姿勢も大切です。

②飲み会文化を継続しない場合

会社主導の飲み会を辞めてしまう選択肢もあります。

その場合、飲み会の代わりのコミュニケーションの場を会社が用意する方法も検討できます。

例えば社内にレクリエーションスペースや喫茶スペースを用意したり、社内SNSを導入してコミュニケーションを促したりといった代替案が考えられます。

労務問題対策には専門家の支援を

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