定年と中高年者の雇用を考える
- 2021.12.22 コラム
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はじめに
サントリー新浪社長が「45歳定年制」を提言して大きな話題になりました。同氏は、経済同友会のセミナーにおいて国際競争力を高めるための方策を問われた際に「45歳定年制にして、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」との旨発言し、物議を醸しました。実際、高齢化が進む中で中高年の処遇を考えることは経営上重要な課題の一つと言えます。以下定年と中高年者雇用の今後について考察します。
定年の法律的制限
現在定年については、原則として高年齢者雇用安定法第8条で「60歳を下回ることができない」と定められています。定年は一定年齢到達を理由として労働契約関係を終了させる制度であり、本来は労働者の雇用を保障する制度ではありませんが、解雇のハードルが高い日本においては、実質的に「定年年齢までは雇用の継続を保障する」という意味合いを持っています。また、60歳以後も65歳までは何らかの継続雇用制度を法律上備えておかなければなりません。さらに、近年の高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業機会確保の努力義務が各企業に課されている現状にあります。サントリー新浪社長の発言は、この意味においては政府の方針と逆行する主張と言えるでしょう。
平均的な中高年の賃金は上昇するか
法改正により定年自体の年齢を引き下げることは相当に困難でしょう。ただし新浪氏の発言以前にも、中高年の労働者に向けた何らかの人事調整をする動きは行われていました。現に、早期退職制度や役職定年の引き下げを含めた人事制度の改定によってベテラン社員の賃金をコントロールし、総人件費を抑えようとする動きはすでに始まっています。ビジネスモデルの変化スピード、AIによる業務自動化、高年齢者就労機会確保の努力義務化の流れを考えると、年収が定年まで年功的に上昇し続ける旧来の日本型賃金制度の維持は難しいでしょう。
このまま年功序列型賃金がなくなっていくとすると、それを当てにして人生設計をしている人が中年になって転職せざるを得ない状況になるかもしれません。そうなれば、今後新浪氏の言う『45歳定年制』のような社会的基準が実質的に一般化していく可能性があります。
「生計費一社依存」を変えるには
とはいえ20年以上同じ会社で勤めた被雇用者が、年収が下がるからといって起業や転職に踏み切るかというと、その割合は高くないかもしれません。状況に合わせて年功的賃金を見直しつつ、年収が下がる場合はその見通しも従業員に伝えていくことが重要でしょう。その上で、幹部・管理者を目指すのか、副業やダブルワーク等で生活に必要な報酬を得る手段を増やす方向に行くのか、などといった選択肢を企業側は示していく必要があるのではないでしょうか。
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