新型コロナウイルスワクチン接種と労災保険給付
- 2021.12.15 コラム
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はじめに
緊急事態宣言が解除され街には人が戻ってくる様子がうかがえます。とはいえ万が一感染が再拡大した状況に備え会社で感染症と労災保険給付についての認識を統一できると安心です。ここではよくある質問について解説します。
Q1 労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、
労災保険給付の対象となりますか。
ワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められないため、これを受けたことによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはなりません。一方、医療従事者等に係るワクチン接種については、業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の感染、発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要です。したがって、医療従事者等に係るワクチン接種は、労働者の自由意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業目的の達成に貢献するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務行為に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります。なお、高齢者施設等の従事者に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとなります。
Q2 「医療従事者等」や「高齢者施設等の従事者」とは、具体的にどのような方を想定しているのでしょうか。
医療従事者等については、病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある医師その他の職員等を指します。高齢者施設等の従事者については、介護保険施設等、高齢者及び基礎疾患を有する者が集団で居住する施設で従事する者等を指します。
Q3 医療従事者が接種業務を行っている際、誤って注射の針を自分の手指等に刺してしまい
(いわゆる針刺し事故)、それが原因で疾病を発症した場合、労災保険給付の対象となりますか。
医療従事者が業務中の針刺し事故により疾病を発症した場合は、労災保険給付の対象となります。
なお、医療従事者が体育館等院外の会場へ出張・接種業務を行った場合であっても、同様に対象となります。
Q4 感染経路が判明しない場合、どのように判断するのですか。
感染経路が判明しない場合であっても、感染リスクが高いと考えられる次のような業務に従事していた場合は、潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)を判断します。
例:複数の感染者が確認された労働環境下での業務、顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務
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