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能力不足社員へのリスク管理

2022.02.18 コラム

 さくら社会保険労務士法人では、愛知・名古屋を中心に労務問題対応、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

はじめに

 日本における解雇はハードルが高く、労働契約法第16条にも「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。中でも能力不足を理由とした解雇はハードルが高く、能力不足事案の多くは解雇の合理的理由と認められないと考えた方が良いでしょう。ただし、もちろん能力不足解雇ができないわけではなく、妥当な手順を踏んだ上での解雇を認めた判例もあります。以下、労使トラブルを防ぐための能力不足社員への対応手順を紹介します。

 

手順1 職務定義の細分化

 能力不足と言うためには、「その人の仕事は何か」をきちんと定義する必要があります。それも、単に「営業職」「事務職」などの職種だけでなく、できるだけ細かく決めた方が良いでしょう。例えば営業職であれば、成約数、成約率などの結果指標以外に、営業訪問の回数基準や、営業研修への参加回数基準などの行動指標も加えるよう検討してもよいかもしれません。ただし、実際客観的に能力を測ることは難しく、数字で結果を測れる営業職でさえ「割り当てられたエリアがたまたま難しいものだった」「コロナなどの環境要因があって仕方がなかった」などの反論を許す余地が多くあります。

 

手順2 業務マニュアル作り

 そこで、基準となるべき業務マニュアルを細かく作り込むことに効果が期待できます。その通りに仕事をすれば一定の成果が期待できるマニュアルがあれば、能力不足を主張する際に「数字での結果が伴ってないことに加えて、業務マニュアルも十分に実行していなかった」と言えるようになります。しっかりした業務マニュアル作りは、サービスレベルの平準化や社員教育の面でも役に立つため、時間とお金を投資して作る価値がありそうです。

 

 

 

手順3 指導の実績記録

 能力不足の解雇を争う場面ではしばしば、「企業側が能力を上げるための指導をしたか」が重要な争点となります。裁判所でも「結果が出ないことは仕方ないが、結果が出るように指導しているのに指導を守らないことは問題だ」と考える傾向があるようです。指導記録は必ずしも書面化する必要はありませんが、口頭の指導のやり取りよりはメールやメッセンジャーなど記録として残るものの方が良いでしょう。この場合、いい加減な指導でなく「本当に改善させるために丁寧に指導する」ことが重要です。つまり、「会社はこんなに丁寧に何度も指導していたのに、対象者の態度も行動も改善しなかった」と言える状況となるよう丁寧に指導してください。

 

手順4 プラス金銭解決

 上記のような手順を踏んだとしても、必ず解雇が認められるとは限りません。まずは配置転換(別の仕事に就かせる)を検討してください。また、やむを得ず雇用契約を終了させる場合でも、解雇でなく退職勧奨(会社から退職を働きかけること)の方が得策です。退職勧奨の際にはあまり「能力不足」を強調しすぎず、むしろ企業と対象者の「ミスマッチ」を原因とした言い方の方がソフトに交渉を進めやすいでしょう。さらに、対象労働者にもプライドがあるので、退職に合意しやすいよう「プラス幾らかの解決金」を用意することも効果的です。

 

労務問題対策には専門家の支援を

 当法人では、企業様に顧問社労士契約を推奨しております。労務・手続き・助成金に強い顧問社労士をつけることで、労務問題を迅速に解決するだけでなく、給与計算や諸手続きにかかる総務部門の間接コストを削減することができ、経営に専念できる環境を整備出来ます。その他にも受給できる助成金の提案・申請代行や各種研修の実施・最新情報提供など、様々なメリットがあります。 詳しくは、【サービス紹介】をご覧ください。

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