「その時間は労働時間なのか?」を考える。
- 2022.12.02 コラム
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賃金請求権の時効が延長され未払い残業代請求のリスクが高まる中、労働時間管理は重要な経営課題となっています。シーン別に「労働時間」の解釈について説明します。
はじめに
働き方改革や賃金請求権時効の延長、最低賃金上昇などの影響を考えると、これからの労働時間管理は一層重要な経営課題となっていきます。しかし実際には、自発的な早出や居残り、在宅ワークなど「労働時間であるか否かの判断が微妙」なものもあります。実際に場面ごとの労働時間の判断基準について見ていきましょう。
1.早出残業
始業時刻前に出社している場合、その時間の労働時間性判断は、「掃除や準備行為をおこなっている事実があるか」「会社が早出を禁止している(あるいは許可制としている)具体的事実があるか」「早出をしなければならないほどの業務量だったか」「早出をしないことにより人事評価でマイナスになるなどの不利益があるか」などを元に判断されます。
【会社の対策】 朝礼や掃除などは労働時間と判断される可能性が高いため、始業後に行うか、残業代を支払う方が良いでしょう。 自発的な早出についても許可制とし、メールなど記録が残る方法で許可制度を運用しましょう。 |
2.持ち帰り残業
職場で終わらなかった仕事を家に持ち帰って作業した場合の労働時間性ですが、原則として労働時間と認定されにくい傾向にあります。これは、私生活空間での仕事は職場と比べて拘束度合いが低いためです。ただし、持ち帰り残業を会社が容認し、常態化している場合や、期限までに仕事が完了しないと人事評価で不利益を被るなどの場合は労働時間と見なされる恐れがあります。
【会社の対策】 持ち帰り残業は原則として禁止し、ワークシェアリングなどで業務が特定の労働者に偏らないようにしましょう。 |
3.サボっている時間
労働時間の中に度重なるタバコ休憩や私用のスマホ操作などの「サボっている時間」がある場合ですが、原則としてタイムカード記録による始業・終業の時間内は労働時間となる可能性が高く、労働時間性を否定するためには会社側が「対象労働者が指揮命令下にないという余程の証拠」を示さなければなりません。例えサボっているように見えていても、会社からの業務指示に直ちに反応する必要性がある状況にある限り、指揮命令下にある、つまり労働時間であると判断されてしまいます。逆にいうと、外部の情報をシャットアウトして連絡を取れなくしている状況下では労働時間制を否定した例があります。
【会社の対策】 労働時間性を争うよりも、都度注意する、具体的な業務指示をするなどの方法でサボりを防止しましょう。 |
4.テレワーク
テレワークについては①始業・終業時刻を指定して、出社した場合同様に労働時間管理をするか、②事業場外みなし労働時間制により労働時間を規定するかのどちらかですが、①はテレワークのメリットである労働時間の自由裁量を損なうため②を選ぶ場合が多いでしょう。事業場外みなし労働時間制による場合、「業務量がみなし労働時間に見合ったものか」「具体的な業務指示に即座に反応しなければならない状況であるか」などが判断基準になります。
【会社の対策】 上司から逐一指示を受けなくても一人で業務を進めることができる人だけをテレワーク対象としましょう。 また、みなし労働時間に見合った業務量であるかを適宜確認しましょう。 |
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