雇用保険マルチジョブホルダー制度について
- 2022.01.12 コラム
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はじめに
今までの雇⽤保険制度では、複数勤め先がある場合も、雇用保険は「主たる事業所のみで」加入する仕組みでした。昨今の多様な働き方への変化を受けて、2022年4月から複数の事業所に勤める65歳以上の労働者について、それぞれの勤務時間を合算して雇用保険加入ができるようになります。以下制度の概要並びに注意点を解説します。
要件
雇⽤保険マルチジョブホルダー制度の要件は以下の通りです。
- ①複数の事業所に雇用され65歳以上の労働者であること
- ②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- ③2つの事業所のそれぞれの雇⽤⾒込み期間が31日以上であること
効果
今までは、主たる事業所単独で「週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合」に、主たる事業所のみで雇用保険加入が可能でした。この改正によって、今まで雇用保険対象外であった短時間勤務の高齢ダブルワーカーが雇用保険加入できるようになります。また、2社のうち1社のみ失業した場合であっても、失業給付等※を受け取ることが可能になります。
※育児休業給付・介護休業給付・教育訓練給付等も対象になります。育児休業給付・介護休業給付は、適用を受ける2つの事業所で休業する場合に対象となります。
手続き方法
通常の雇用保険手続きは事業主が⾏いますが、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、原則としてマルチ⾼年齢被保険者としての適用を希望する本人が手続きを行う必要があります。手続きに必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)は、本人が事業主に記載を依頼して、適用を受ける2社についての必要な書類を揃えてハローワークに申し出ます。会社の担当者の方としては、高齢労働者から証明の記載を求められた場合に対応すればよいことになります。
また、マルチ高齢被保険者となった者について任意脱退は認められていないため、労働時間の減少や死亡などの理由以外で資格喪失をすることができない点に注意が必要です。
なぜ高齢者だけなのか
今回のダブルワーカーに対する雇用保険の拡充制度は「65歳以上の高齢労働者」を対象としていますが、その理由については大きく触れられていません。年金の支給開始年齢が引き上げられ、定年延長の流れに連動して高年齢者のセーフティネット機能を強化するという表向きの理由のほかにも、「今後の雇用保険制度全体の見直しを検討するために、まずは対象者の少ない高齢者に絞って試験的運用をする」意図があるのかもしれません。
いずれにせよ雇用保険制度も働き方の多様化に対応して変わっていくことを示唆しています。
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